通常運賃+αで優雅なリゾート気分が味わえる観光列車。近年ではJRを中心にその種類も年々増加しており、鉄道ファンのみならず旅行好きの人たちにまで人気を博しています。
その種類も、列車それぞれに設定されたコンセプトに沿って多種多様!列車により楽しみ方もそれぞれ違うため、楽しみも倍増するというわけです。列車はただの移動手段から、列車本体を楽しもうという志向へ移り変わってきているといえそうです。
今回ご紹介する『海里』もまた、観光列車ブームに後押しされ2019年10月5日にデビューした最新の観光列車!!JR東日本が運行する19の観光列車の中で最新のものとなっています!
本記事では、実際に『海里』に乗車した際のレビューはもちろん、座席や安く乗る方法についてもお届けします!!『海里』に今後乗ろうと考えている方や、観光列車に関心のある方の参考になれば幸いです。
海里に乗車する前日には、JR五能線の人気観光列車『リゾートしらかみ』にも乗車しました。こちらも『海里』と同じ編成の車両を用いた観光列車。こちらの乗車レポートとも比較しながらご覧ください!
目次
What’s『海里』?
テーマ
JR東日本の観光列車は列車ごとに「グルメ」・「車内」・「車窓」とそれぞれコンセプトが定められています。
『海里』は「グルメ」が特徴の観光列車と位置付けられています!車窓からの風景がとっても素敵で魅力的ですが、それ以上にグルメに力を入れている観光列車といえそうです!
運行区間
『海里』は、JR羽越本線の新潟駅~酒田駅間を1日1往復のみ運行しています!
その他途中停車駅は、新発田・中条・坂町・村上・桑川・あつみ温泉・鶴岡・余目です。
運行スケジュール
運行日は不定期ですが、土日・祝日(一部金曜も)を中心に運行されているようです。詳しい運行日はこちらをご覧ください。
主要駅の運行スケジュールは以下の通り(2020年1月現在)
- 新潟⇒酒田(下り)
新潟 新発田 坂町 村上 桑川 鶴岡 酒田 通常 10:12発 10:38発 10:56発 11:06発 11:22着 12:56発 13:19着 11:42発 冬季 10:12発 10:38発 10:56発 11:06発 11:22発 12:21発 12:44着 - 酒田⇒新潟(上り)
酒田 鶴岡 桑川 村上 坂町 新発田 新潟 通常 15:02発 15:25着 16:50着 17:36発 17:47発 18:06発 18:31着 15:49発 17:21発 冬季 16:00発 16:33発 17:21発 17:36発 17:47発 18:06発 18:31着
運行スケジュールは通常期と冬季(今季は12月27日~)で異なるので要注意!
通常期であれば、桑川駅で停車時間が長め(下り20分、上り30分)に取られています。下りであれば風光明媚な笹川流れの絶景を、上りであれば日本海に沈む夕日を間近に楽しめます!
冬季は残念ながら上下ともに通過してしまいますが、桑川駅周辺の笹川流れは沿線随一の景勝地!!ぜひ車窓から注目して見てみてください。冬に夕日が拝めたら本当にラッキー!!
『海里』を最大限楽しむために
おすすめの座席
『海里』の編成図はこのようになっています!
4号車はパッケージ限定販売ですので、通常のきっぷで乗車できるのは1号車と2号車のみです。1号車はリクライニング座席、2号車はボックス席(4人掛け)となっています。
- 3人以上のグループ
2号車ボックス席 - ひとり旅・ペア旅行
1号車のA席(窓側)・B席(通路側)
(相席OKなら2号車A・D席も)
ひとり旅・ペア旅行では、相席になる可能性が高いためボックス席は避けたいところ…しかし座席数が大変少なく、ボックス席しか空きがない状況も少なくない点は注意したいところ。
1号車(リクライニング座席)ではA席(窓側)・B席(通路側)が、上下線ともに日本海側の座席です!!景色が美しい路線なので、A・B席は確実に抑えたいところ!!(反対側はほぼ崖しか見えません)
2号車(ボックス席)のボックスは海側に配置されており、窓側座席はA席とD席です。ひとり旅やペア旅行でやむを得ずボックス席となったら、この2席を狙いましょう!!
なお、「えきねっと」での予約では、列(A,B,C,D)は指定できますが、車両の指定はできません。相席を絶対避けたい!!という方は、駅の「みどりの窓口」や旅行代理店での予約をオススメします。
事前予約のお弁当はマスト!!
先ほどもご紹介したように、『海里』のコンセプトは「食」!!
しかし、車内販売にお弁当などはありません…コンセプトの「食」を楽しむには事前予約制のお弁当を注文する必要があります!!『海里』を存分に楽しむならこれはマスト!!
新潟発下りの『海里』のお弁当は「海里特製 加島屋御膳」!!新潟県民なら知らない人はいないであろう、あの加島屋が満を持してお弁当を提供しています!!魚沼産コシヒカリを筆頭に、キングサーモンの味噌漬けなど、新潟が1つに凝縮されています!!
一方、酒田発上りの『海里』のお弁当は「海里特製 庄内弁」!!こちらは、食の都庄内親善大使の土岐正富氏が監修しています。こちらはつや姫やだだちゃ豆を、遊佐生まれの「めじか」で巻いた「めっこい巻き」をメインに、庄内地方の美味しさが詰まっています!!
今回は上りのみ乗車ということで、「庄内弁」を頂きました(後述)。
価格は下りの「加島屋御膳」は1,800円、上りの「庄内弁」は2,000円です。
お弁当は以下から乗車3日前まで事前予約ができます!!予約後は、指定席券売機などでバウチャーチケットを発券し、3号車の売店で引き換えとなります。
安く乗りたい!!
実は、年に限られた期間だけ安く乗ることができます。それは「青春18きっぷ」を使った方法です!
『海里』は通常より豪華なサービスを提供していますが、名目上は快速列車の扱い。そのため、指定席券840円を追加で支払えば「青春18きっぷ」が可能に!通常運賃は3080円+840円ですが、この方法なら2410円+840円で乗車ができます!
1日にどれだけ乗っても運賃は変わらない「青春18きっぷ」。往復で乗ればさらにオトクですね!
「青春18きっぷ」の販売日程など詳細はこちらへ
『海里』車内施設レビュー
列車:『海里』
乗車日:2019年12月29日(冬ダイヤ)
座席:2号車B室6A(ボックス席)
乗車区間:酒田⇒新潟
普通車指定席
1号車リクライニングシートの座席です。
シートは黒やグレーを基調としつつ、夕日のオレンジ色が差し色として映えている印象でした!
1号車末端部にある展望デッキ!
中央に大きなテーブルがありますが椅子はなく、立って景色を眺めるスタイルですね。こちらもグレーで洗練された色合いになっています。
今回は普通車指定席には乗車しませんでしたが、同型車両の『リゾートしらかみ』に乗車した際の記事で、リクライニング座席について詳しく紹介しています。
ボックス席
今回はひとり旅ながらボックス席を利用したので、こちらについて詳細に紹介していきたいと思います!
ボックス席のある2号車の通路はこちら
黒とオレンジが基調となっており、夕暮れを連想させるムーディーな空間です。
座席は全て海側に配列されており、通路側の窓もまた大きい!鳥海山や庄内平野を広々と見渡せます!
ボックス席は4人掛け!といっても、4人では十分すぎるほどの広さがあります!椅子と比べるとテーブルの大きさはやや控えめ(それでも全然余裕です(笑))
日本海に沈む夕日がデザインされた照明がおしゃれな空間を演出。とても洗練された車内空間でした!
コンセントは1室に1か所(D席)のみ。室内灯やテーブル灯(夕日の照明)は、ボタン1つで自由にON・OFFできます。
大きな荷物はシート真上の収納棚にしまえば広々と空間を使えます。収納棚が窓の上にないため、その分大きな窓から風景を楽しめるというわけですね!
扉などは無いためそこまでの個室感は感じませんでした(相席だとむしろこれくらいがありがたい)
そして、このボックス席最大の魅力は…座席を倒してフルフラットにできるところ!!足を軽く伸ばしたり、あぐらを掻くことも!!
前後の幅は意外と狭いですが、あぐらを掻く程度なら4人でも全然楽勝。隣に人がいなければ、横に足を伸ばすのも良いですね(漫画喫茶のフルフラット席ほどの長さは確保できます)
売店
3号車は売店とイベントスペースのみで構成。座席もあった『リゾートしらかみ』と異なる点の1つです。事前予約のお弁当は、こちらの売店で受け取ることになります。
イベントスペースは主に眺望を楽しむスペースとして機能していました。大変広く混雑も比較的していないため、海側の座席が取れなくともこちらで絶景は楽しめそうです!
乗車記念スタンプもこのイベントスペースにあります。簡単な洗面台があるのも良いですね。
こちらが『海里』の売店メニュー
各種新潟・山形の名産品が含まれている点が特徴的!新潟といえばやはり地酒!「山城屋」は長岡市(栃尾)、「大洋森」は沿線の村上市の銘柄。一方ワインの「ソレイユ・ルバン」は、様々なコンクールでの受賞歴があり、山形県鶴岡市の銘柄です。
サッポロ黒ラベルは『海里』がプリントされた車内限定ラベルでした!
売られているものは飲食料品のみで、オリジナルグッズは手ぬぐいのみ。村上緑茶缶などに『海里』のエンブレムが刻印されていますが、全体的には少ない印象…今後の展開に期待したいところです。
『海里』乗車レビュー
酒田駅を出発!
今回は上りの酒田発新潟行きの『海里』に乗車。
電光掲示板にも「快速 海里」と表示されていました。駅には『海里』の運行を記念した酒田駅の駅標なんかもありましたよ。
少し早めにホームへ行き、乗車記念に『海里』の撮影をしました。車両の型こそ前日に乗車した『リゾートしらかみ』と同じですが、こちらは赤と黒がベース。シックな色合いが良かったです。
もし酒田で駆け込み乗車となっても、上りなら鶴岡駅で10分程度の停車があるので、そこでゆっくり撮るのもオススメです!
乗客数は酒田で一杯になることはなく、鶴岡やあつみ温泉などからの乗客も多かった印象でした。観光客はもちろんですが、デビューから間もないこともあり鉄道ファンの多さも目立ちました。
車内はまだ新車の匂いが残っていました。
海里特製・「庄内弁」を実食!
鶴岡駅を過ぎると、3号車売店で事前予約していた「庄内弁」を受け取ることができます。
「庄内弁」を開封!!
中身は「めっこい巻き」やローストビーフなど10数品目。意外と盛りだくさんでお腹も満たされました。副菜もどれも美味しかったのですが、初めて食べた「めっこい巻き」が特に絶品でした!
ビニール袋に入れてもらえるので、車内で食べれなければ持ち帰りもできます!
実際、お弁当を注文している人はごく僅かだったと思います。特に今回はボックス席で相席だったのでかなり気まずい状況に(笑)「食」がテーマの観光列車なのに皆さんもったいないと思うのですが……
車窓からの眺めは…?
今回は年末だったため、鶴岡を過ぎて日本海に出たときにはすでに真っ暗…残念ながら夕日を見ることはできませんでした。
春~秋の晴れた日なら綺麗な夕日が眺められそうです…!
また、鶴岡を過ぎたあたりで車掌さんが検札に来ました。
「もしよろしければ、切符に乗車記念の記念スタンプを押しましょうか?」
なんとも素敵な検札でした(笑)
おわりに
本記事では、JR羽越本線の新しい観光列車『海里』について、実際に乗車した体験を交えながら紹介しました。
JR羽越本線の新潟ー酒田間は、長らく運行していた『きらきらうえつ』号が先日引退したばかり。それとはコンセプトなどが大きく異なりますが、非常に高級感ある空間で優雅な移動が楽しめました!
席数が非常に少なく切符は争奪戦になりがちですが、安い値段でこれだけの空間を味わえるのであれば納得です。
日本海の車窓を楽しむためにも乗車の際には早めに事前予約を!海側の座席は特に早く売り切れるので…
お弁当の予約も忘れずに!!
JR羽越本線で、優雅な食の列車旅を楽しんでみてはいかがでしょうか?
fin.