オーストラリアのシンボルといえば…?
そう聞かれて「ウルル(エアーズロック)」と答える人は少なくないと思います。
360°に広がる大砂漠地帯にそびえる巨大な一枚岩の姿は、まさに地球の神秘そのもの…
別名「地球のへそ」といわれる所以も納得してしまいます。
ウルル(エアーズロック)は高さ335m(標高868m)、周囲は9.6kmで世界で2番目に大きな一枚岩となっています!東京タワーよりほんの少し高いですね!
(ちなみに世界一は、西オーストラリア州のマウント・オーガスタス)
そんなウルル(エアーズロック)ですが、以前から日本人をはじめ多くの観光客が一枚岩へと登頂しており、その絶景からオーストラリアの一大アクティビティとなっていました。
しかし、2019年10月26日をもって登頂は半永久的に全面禁止となります…!
それは、オーストラリア政府から先住民族アボリジニへと利権が返還されるため。
元々ウルル(エアーズロック)は、アボリジニの聖域でご神体のような存在。
日本人に例えるならば、大仏様の上を観光客がよじ登っているようなもの…
それをアボリジニの方々が良いと思うはずがありませんよね?
禁止日以降は、登山道の鎖などが全面撤去され、登山が実質的にできなくなります。そのため、最後に登頂しようと世界各国から観光客が押し寄せているのです!
永遠にもう登れないよ…とか言われたら駆けこんで登りたくなりますよね(笑)
本記事ではウルル(エアーズロック)についての紹介と、登頂禁止1か月前に実際に登頂した様子をお届けしたいと思います!
皆さんがこの記事をご覧に入れる時には、すでに登頂が禁止されていると思いますので、参考程度に見て頂ければ幸いです。
目次
ウルル?エアーズロック?
さて、タイトルも含めて先ほどから私は「ウルル(エアーズロック)」というように紹介しています。
この違いは何でしょうか?
「エアーズロック」という名前は、皆さんも聞きなじみのある呼び方のはず。
知っての通り、あの一枚岩を指す言葉です。
イギリスの探検家が、あの一枚岩につけた呼び名が「エアーズロック」。
それが世界的にも浸透し、知名度が高い呼び方なのかと思います。
それでは「ウルル」とは何か。
こちらも同じ一枚岩を指す呼び方ですが、先住民族「アボリジニ」が古来から呼んでいた名前なのだそう。
現在ではアボリジニに敬意を払い、オーストラリア国内でも「ウルル」という呼び方が一般的だそうです。
本記事でもアボリジニの方に敬意を払い、以降「ウルル」と表記して紹介していきます。
ちなみに空港の名前は「エアーズロック空港」
世界各国から訪れる観光客の玄関口ということで、知名度の高い「エアーズロック」という名前が用いられていますね。
世界遺産としてのウルル
ウルルは、同じく岩石であるカタ・ジュタとともに「Uluru-Kata Tjuta National Park」として世界遺産に登録されています。
1987年に国立公園登録と同時に世界自然遺産に登録され、1994年にはアボリジニの文化的側面から世界文化遺産へと拡張されました。
現在では数少ない複合遺産の1つとなっています。
ちなみに、登録基準は自然遺産(ⅶ)(ⅸ)、文化遺産(ⅴ)(ⅵ)となっています。
詳しい内容はこちらにあります。
ウルルへのアクセス
ウルルへのベースポイントはYulara(ユーラーラ)という町にある、「Ayers Rock Resort(エアーズロックリゾート)」という場所。
リゾート内はドミトリーから高級ホテルまで多くの宿泊施設が立地しており、ショッピングセンターなどもあります。
ウルル登山口までは20km(道路距離)で、車で20分ほどの距離です!
このYularaにエアーズロック空港があり、リゾートから車で10分ほど。
空港とリゾート間は無料シャトルバスが運行されています!
エアーズロック空港へは、シドニーやメルボルンをはじめオーストラリア国内からQANTASやJetstar、VirginAustraliaなどでアクセス可能!
エアーズロック空港まではシドニーから約3時間半、メルボルンからは約2時間半のフライトとなります。
ちなみにUluru-kata Tjuta National Parkの入園には、3日間有効のパークチケット($25)が必要となります。 National Park公式HP(英語)よりオンラインで購入が可能です!
ツアーで参加される場合、チケットは代理店を通じて申請されるので自分で購入する必要はないかと思います!
ウルル登山の条件
ウルルは広大な砂漠地帯にポツンとそびえる一枚岩。
それゆえ夜は寒く昼は猛暑となり、1日の気温差が非常に激しい点が特徴です。
過酷な気象条件から登山者を守るため、ウルルでは厳しい登山規制が設定されており、以下のどれか1つにでも当てはまる場合は、登山口が閉鎖されます。
- 夜間
- 16:00~翌7:00(3月~11月)
- 16:00~翌6:30(12月~2月)
- 日中(夏季)
- 8:00以降(12月~2月)
- 8:00以降
- 36℃以上の気温が予報されている
- 常時
- 頂上の風速25ノット(約12.9m/s)以上
- 3時間以内の降水確率20%以上
- 3時間以内の雷雨確率5%以上
- 降雨により岩の表面20%以上が濡れている
- 頂上に雲がかかっている
- 気温36℃以上
- 緊急応対時
- 文化的理由により先住民から要請があった時
この通り、登山口閉鎖の条件は非常に多いことが分かります。
砂漠地帯ですが年に数回はまとまった雨が降り、とにかく年を通して暑いです…!!!夏季は気温条件のみならず時間制限もかけられており、登山をするならオススメは冬季!
とはいえ、冬季でさえ登頂(ゲート開放)率は約3~4割程度…
確実に登山するなら中3日は最低設けて、エアーズロックリゾートに4泊5日の日程で滞在するのが良いでしょう!
ウルル登山をするにあたって
服装
ウルル登山での服装は、基本的には軽装でOK!
山岳登山をするような装備をする必要はありません。
(高さも低いですし)
今回は冬季(9月上旬)に登りましたが、砂漠ゆえに気温差が激しく、対策は必須だと思います。朝は5℃前後まで冷え込みますが、日中は30℃を簡単に超えます…
つまり、防寒対策と猛暑対策を同時にしないといけないのです(笑)
上半身は長袖アンダーシャツ(伸縮するゴム生地)+半袖Tシャツとし、防寒対策としてスキーウェア(中綿の無い薄めのもの)を着用しました。
下半身は動きやすい私服のパンツ!
ジーンズやジーパンの人も大勢いたので、その辺は自由だと思います!
シューズは動きやすい運動靴がマスト!
(今回はニューバランスの靴です)
スニーカーは当然NGです(笑)
赤土で凄まじく汚れるので、可能であれば現地で捨てられる靴が良いと思います!
あとは紫外線が強いので、帽子は不可欠!
全方向からの日射から守れる、ハットタイプがベターです。
以上がウルル登山(冬季)に推奨されると思われる服装です!
夏季はより軽装で大丈夫だと思いますが、紫外線・猛暑対策はより厳重に行ってください!
持ち物
服装について紹介したときと同様、猛暑対策は不可欠!
実際に登ってみて、必要だと思ったものを挙げてみました!
- 帽子(服装参照・折り畳みハットがGood)
- 運動靴(服装参照・現地で捨てても良い靴が楽)
- 日焼け止めクリーム
- 虫除けネット(帽子に取り付け)
- 飲料水(最低2L)
- リュック
- 絆創膏・湿布類
- (軍手)
- お菓子など
- 先住民族アボリジニを敬う気持ち
ざっくりこんな感じです!
あとは各自必要なものを付け加えていってください!
軍手は登山道のチェーンを掴む滑り止めとして!
しかし、私はカメラを撮影するのに邪魔で、結局取りっぱなしでした。
チェーンは素手でも全然問題なかったですが、グリップが心配な人は一応あると良さそうです!
虫除けネットについて
ウルル周辺は特にハエが多い!!!
歩いていてイライラのあまり叫びたくなるくらい多いです…
冬は比較的少ない(といっても多い)ですが、夏はとんでもない多さになるようです(笑)
それを防ぐためにも虫除けネットはマスト!
現地でも売っていますが観光地価格なので、事前に日本でホームセンターや通販で買っておきましょう!
ウルル登山の様子を紹介!
今回は、エアーズロックリゾートに4泊5日(9/1~9/5)の日程で滞在!
運が良いことに中3日間ともに快晴に恵まれました!
ウルル登山日:2019年9月2日
冬季とはいえ日中は猛暑になるため、早朝スタート!
Uluru Sunrise Viewing Areaからウルルの日の出を拝んで登頂祈願!
(サンライズとサンセットの様子は別記事にて紹介予定)
朝8時頃、ウルル登山口に到着!
すでに登山客で溢れており、駐車場は満車だったので路上駐車に
ウルル登山口
登山客がまるで蟻の行列を成しているかのよう(笑)
想像していた以上の急斜面が目の前にそびえ立ちます…
登山口にはこのような警告文とアボリジニからのメッセージがありました。
一番目の付く左上に日本語が書かれており、いかに日本人観光客が多いかわかりますね。
まず1枚目のボード
往復約3km、所要時間2~3時間、傾斜10°を超える急斜面の上級コースというような情報と、注意書きが書かれています。
「命を大切にしてください」という、いかにも差し迫っているかのような警告文に思わず目を引かれます(無理は禁物という意味のようです)
そしてアボリジニからのメッセージ
「ウルルはアボリジニにとって神聖な場所であり、登山は危険であるから登るべきではない」
とのことです。
登山口に設置していながら、誰一人として引き返していないのですが…
アボリジニへの敬意を忘れずに登山します。
登りはじめは緩斜面(スキー場の初級コース並み)。
普通に立って登ることができます!
(なぜ大げさな表現かというと、この後本当に立って登れなくなるからですw)
このときは本当に走って頂上まで行ったる!!とか思えるくらい余裕でした
2~3分も登ると鎖が出現!!
でも私はまだ全然余裕!
鎖を使わず涼しい顔で登り進めます(笑)
(前方の人や下山者の様子から結構な斜面なのが伝わると思います)
まだ余裕!
まだ鎖は封印!!
ちなみに傾斜はこれくらい
遠くの水平線と比較すると、その傾斜の急さが分かると思います
それから数分
いよいよ身の危険を感じたので鎖につかまります!
足元も滑るので、鎖を使わないと本当に滑落しそうでした…
鎖を頼りに10分ほど急傾斜を登り続けます!
この先は傾斜25°を超えるような傾斜が続きました。
1番急なところで32°~33°(スキー場の上級コース程度)ほどでしょうか…
鎖にしがみつかないと本当に立ってられませんでした!
さすがに疲れたので途中で座って休憩
上の写真からも傾斜の強さがよく分かると思います!
(スキーで下るにはちょうどいい斜面ですが…)
振り返ると…
大平原と青空がひたすら地平線まで広がる絶景…!!
まるで違う星に来たかのようでした!
奥にはカタ・ジュタの奇岩も見えます!
登山客の多さのあまり、車が駐車場から溢れている様子も分かりますね
この先も20°台の中斜面が続きます。
ここもやはり登るには急斜面。
登り続けていることもあり、足と腕に堪えます…
鎖場出現から登り続けること40分
ようやく鎖が途切れ中腹に辿り着きました!!
いよいよ暑くなってきたのでスキーウェアを脱いで半袖1枚に!
(まだ8時半なのですが…)
最後にこの壁のような斜面を登れば、ウルルの下の方の、切り立った崖の部分が登り終わったことになります!
つまり、残りはほとんど平ら!(だと思っていた)
あとは、頂上までアップダウンが多めのトレッキング!
一枚岩の凹凸を縫うように進んでいきます!
雨や風の浸食を受けてこのような凹凸が形成されています…
そのスケールの大きさにただただ驚くばかりです!
スケールの大きさ故に、こんな坂(もはや壁)をよじ登る場面も多々(笑)
遠くからは平らに見えるウルルの頂上部ですが、実際にはこのような凹凸が数えきれないほど多く広がっていました。
まさに天然の反り立つ壁(笑)
そしてついに遠くに頂上が…!!!
ついにウルル登頂成功!!
今回の上り所要時間は1時間40分でした!
この頂上の記念碑も、アボリジニへの返還後は撤去されるのでしょうか?
皆さん記念碑と一緒に記念撮影を楽しんでいます!
我々も集合写真を撮りましたが、ここで紹介すると色々と面倒なので控えておきます(笑)
やりたくなるのは分かるけど、あのさぁ…
あくまで神聖な場所ということは留めておいて欲しいです…
こんなことをする日本人はいないと信じていますが
山頂からはオーストラリアの大平原360°パノラマを望むことができます!
カタ・ジュタも綺麗でした~!!
ただ正直言うと、周りに何も無さ過ぎて風景が変わり映えしなかったので、すぐに見飽きました(笑)
贅沢な悩みですが…
結局頂上には1時間ほど滞在しましたが、半分くらいはお昼寝してました(笑)
今までで一番贅沢なお昼寝だったんじゃないかな
お菓子やジュースを持ち込んで、絶景とともに食べるのも最高だと思います!
(下山があるのでお酒はやめた方が良いと思いますが)
下山時は風が強く、鎖につかまらないと本当に飛ばされると感じるほどでした。
車の台数も凄いことに(笑)
無事に下山!
帰りは50分ほどで下りてくることができました!
下から登山道を眺めると、こんなに急なところを登っていたのかと驚きます…
まだ12時前でしたが、これから登る人も数多くいました。
おわりに
本記事では、ウルル登山について紹介させて頂きました!
登山道は想像以上に険しく(特に序盤)、体力にそこそこ自身はあった私も、最後は結構バテテしまいました(笑)
実際、体力的問題や時間的制約によって、崖を登り切った中腹部でリタイアしてしまう人も少なくないそう…
しかしながら、ウルル頂上から見渡した大平原の絶景は本当に美しく、「地球」をそのまま体感できた瞬間でした!
そして、登山客の多さにも驚かされました。
まるで富士登山のよう…(登ったことないですが)
昨年まではこれほど登山客は多くはなく、日本人が大半を占めていたそうです。
それが今年は白人系を中心に割合が急増し、登山客もかなり多かったとのこと。
(2年連続で登った友人談)
駆けこみ需要って世界共通で凄いですね…
白人さんも本当はずっとウルルに登りたかったようです(笑)
2019年10月26日をもって、ウルル登山は半永久的に禁止となります。
その最後に登ることができたのは本当に貴重な経験であり、頂上からの景色は一生忘れることはないでしょう。
人生で初めて「地球は丸い」ということを体感した瞬間でもありました。
もしこれから登山する方がいるのであれば、入念に準備をした上で、最後のチャンスを踏みしめながらチャレンジしてみてください!
アボリジニの方々への感謝と敬意もお忘れなく!
fin.